コミケ探偵事件録

コミックマーケット。それは、夏と冬の年に2回開かれるオタクの祭典――。

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プロローグ ――祭りの支度――

 
 7月のはじめ。コミックマーケット準備会に脅迫状が届けられた。それはコミックマーケット当日に、人気サークルの人間を皆殺しにするというもの――。
 けれどそういった脅迫文は以前から届いていて、さらには近年は警察も厳重な警戒をしているということで、コミックマーケット自体を中止にする事はできないと結論が出た。
 しかし開催のちょうど一ヶ月前、会場であるビッグサイトでぼや騒ぎがあった。
 警察が動き出したが、調査しても犯人を捕らえることはできなかった。
 会場のビッグサイト近辺は、普段は人通りが少なく目撃証言を得るのが困難で、結局誰かの不注意かイタズラだろうということになって、大した問題にはならなかった。
 だが――万が一に備えるのが警察の役目。コミックマーケット当日には警官100人体制で警戒をはかることになったが、事前調査によると当日はもの凄い参加者が集まるとのこと。
 果たしてオタクの祭典である、コミックマーケット・夏――通称、夏コミ――を無事開催し、そして何事もなく終わらせる事ができるのか。
 それはひとえに――天才現役女子高生探偵・千囃子伊乃の手にかかっている。






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