アウトキャスツ・バグレポート
第1章 カエル荘の住人達
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「お、お姉ちゃんっ。どどどうしよう……っ。私が迂闊だったばっかりに……異物(マザリモノ)にも逃げられた……っ」
「落ち着くんだメグちゃん。あいつの事なら知ってるよ。名前はヒドゥイヤロ。逃がしても大した事はないよ。それよりも、なぜ……結界は機能しているはずなのに、刻羽クンがここに来るだなんて。……これは完全にワタシの判断ミスだった」
「そ、そんな……お姉ちゃんのせいじゃ……」
「そんなことよりも今は刻羽クンが先決だ」
「先決ってお姉ちゃん……彼はもうとっくに死んでるんだよっ。もうどうすることも……」
「ふふっ。メグちゃん。ワタシを誰だと思っている? ワタシにできないことは、なにもないのだよ」
「ま、まさかお姉ちゃん……あれを使うの? で、でもあれはお姉ちゃんにとって危険なんだよっ。お姉ちゃんの命が削られちゃう……」
「なぁに。それでも1週間くらいで元に戻るさ。危険って言っても、その間普通の人間と同じくらいのスペックになるだけ。人の生命を復活させるには安すぎる代償だって」
「けど、さっきの異物(マザリモノ)はまだこの町にいるんだよ? それでなくてもお姉ちゃんはいろんなヤツから命を狙われてるっていうのに……お姉ちゃんが弱っている時にまたあいつが襲ってきたら……」
「大丈夫だって。メグちゃんがいるじゃないか。メグちゃんならきっと今度は倒せるよ。さぁさ、とにかく早くやらないと。ぐずぐずしてると手遅れになっちまうぞ」
「お姉ちゃん……」
「…………」
「……お姉ちゃん、頑張って」
「…………くっ。刻羽クン……もしかするとこの子も、色々と謎を秘めているのかもしれないね……カエル荘に来たのも……偶然じゃないのかも……っ」
「お、お姉ちゃん。大丈夫っ?」
「だ、大丈夫。でも彼……ワタシの命を随分与えているというのに、全然復活する気配がない……こんな例は、初めてだ……」
「え? それ、どういうことっ……?」
「なんだろう……ワタシの生命を拒絶しているとでもいうのか……もうかなり消費してるのに……このままだとまずいかも……ワタシ、まで……」
「お、お姉ちゃん!? も、もういいよお姉ちゃん!!」
「い、いや……駄目だ。それじゃあ刻羽クンが。あ……あと少し……刻羽クン、を……」
「お姉ちゃんもうやめて! お姉ちゃああああん!!!!」
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