アクター×アウター 〜演じる彼女と目立たぬ彼女〜

第4章 首絞め

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幕間劇 B

 
「とうとうこの学校の生徒が首絞め事件の被害者となった。しかもそれが……よりによって生徒会メンバーだなんて」
 席についた奏上大賀は、さっそく緊急の議題を挙げた。
 深刻そうな彼の背後には、瀬能芹奈が無表情な顔をして立っている。
「でもまさか、文武両道で男顔負けの体術を使う副会長がやられるなんて……ボクは未だに信じられませんねぇ」
 奏上以外にテーブルに着いている、たった1人の生徒会役員・川切落花がヘラヘラした顔で言った。
 彼はいつもこんな顔をしているので、今更不謹慎などと奏上に怒る気持ちはなかった。
「油断していたか、それとも犯人が知り合いだったか……それとも単純に自分よりもっと強い相手だった、か」
 言いながら奏上は、失った損失の大きさを実感していた。
「副会長より強いなんて、そうそういないと思いますけどね……それにしても、また鳴海葉鍵ですよ、会長。今度は第一発見者ときて、しかも犯人を追いかけたそうじゃないですか。彼、このまま放って置くことはできないですよねぇ? 出しゃばり過ぎですよねぇ?」
「できれば……もうこれ以上、奴に関わりたくはないんだがな。下手に刺激を加えて、余計に変な行動をとられてもかなわんからな」
 下手に関わるから物語を広げてしまう。相手に深入りして欲しくないなら、こっちから何も行動をとらないというのが、賢いやり方なのだ。
「変な行動ねぇ……そういえば、変といえば鳴海葉鍵のクラスにまた転校生が来たらしいですねぇ?」
 と、突然川切が話題を変えた。
「そうだったのか?」
 奏上は意図が分からず眉を寄せて訊き返した。
「そうなんですよ。副会長さんがこのまえ言ってました。なんだか怪しいって。それに鳴海葉鍵ですけど……最近なんだか様子がおかしいみたいです。なんかコソコソとボク達生徒会を嗅ぎ回っているみたいなんですよねぇ。残念ですが――もう変な行動、始めちゃってるみたいです。やっぱ、放って置くことできないですよね」
 川切は楽しいゲームが見つかったみたいな顔で奏上の瞳を見つめる。
 鳴海葉鍵。こちらから何もしなくとも彼はもう、行き場を失ったハエのようにまっすぐ進んでくるのだ。
 それがこっちに向かって来るというのなら――叩き返さなければならない。
「そうだな……奴の事はオレがなんとかしよう」
 奏上は決心して、ゆっくりと席を立った。
「さすが生徒会長、頼りになります」
「ふ、おだてるなよ、川切……。オレはな、憤っているんだ。我が生徒会メンバーに手出しした愚か者を、オレは絶対に許さない。そして、それと動揺に、興味本位で首を突っ込もうとする悪意なき悪人を」
 奏上大賀は拳を握り締めて歯を食いしばった。
 その後ろで、瀬能芹奈は氷のような冷たい目をして、奏上を見ていた。


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