アクター×アウター 〜演じる彼女と目立たぬ彼女〜

第3章 存在消し

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

幕間劇 A

 
「世界を我々の手にするために!」
 生徒会メンバーの3人が声を揃えて言うと、席に腰掛けて、本日の会議が始まった。
「……事態は進展している。瀬能芹奈を手に入れたのはいいが、彼女を巡る物語はどうやら簡単には止まらないようだ」
 限られた者しか存在の知らないその部屋で、奏上大賀は深刻な顔で議題を切り出した。
「やはりまずは、事件を解決するしかないんじゃないですかねぇ?」
 そう言った生徒会会計の川切落花はどこか、この状況を楽んでいるように見えた。
「それとも……鳴海葉鍵。あの少年が鍵なのかも……だったら彼はいったい何者なの」
 生徒会副会長の橘陽菜が独り言を呟くように言うと――、奏上大賀が。
「もしかしたら……鳴海葉鍵という存在も、彼女にとって都合がいいから用意された駒に過ぎないのかもしれない」
 テーブルに座り、顎を組んだ手の上に乗せている奏上は、顔を上げて、部屋の隅の方を見た。
 そこには、表情のない顔で立っている――瀬能芹奈の姿があった。
 芹奈は生徒会メンバーの話を聞いているのか、いないのかも分からない位に、ノーリアクションでただ立ち尽くしていた。
「それにしても奏上……あなた、少しやりすぎじゃないの?」
 奏上につられるように芹奈の方を見つめる陽菜は、批難めいた声をあげた。
「なんだ? オレのやり方に文句があると言うのか、副生徒会長」
「…………別に」
 陽菜は明らかに文句がある風にそっぽを向く。
「オレだって本当はこんな真似したくはないさ。だが彼女を守るため……ひいては世界を守るために仕方なくやった事だ。悪人がいるとするならそれは……鳴海葉鍵なんだ」
 奏上は言い訳がましく言って、視線を伏し目がちにして黙った。
 部屋の隅で、まるでマネキンのように立っていた瀬能芹奈は、ほんのかすかに口元を緩めた。


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