女はすべて俺の敵!

プロローグ

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

プロローグ 〜輪廻する邂逅〜

 
 それは秋が近づく頃。満月が輝く夜の公園だった。そこで俺は一人の少女に出会った。
 少女は闇の中、ゆったりとステップを踏んでいるように見えた。踊っているのだろうか?
 いや……それよりこの少女は何をしているのだ。こんな時間に。こんなところで。
 でも少女の顔を見た瞬間、そんな疑問はことごとく消え去った。
 なぜなら月の光に照らされた少女は、まるで人形のようで。
 ――一つの欠点も見当たらない精巧な作りの顔。見事としか言いようのないプロポーション。シルクのようにきめ細かく、色素のまったくない真っ白な髪。そしてその髪と同じくらいに、汚れ一つない真っ白のドレスのような衣装。
 どれをとっても完璧な人間――いや、人間なのか? と、そう思えるくらいには幻想的な光景で、状況で、存在だった。
 つまり少女はとても綺麗だった。
 俺は何もできずにただ少女を見ている事しかできなかった。
 どれくらい経っただろうか――やがて少女が俺の方に気付き、こちらを振り向いて、ニコリと微笑んだ。血を吸ったような赤い瞳をしていた。
 そのままゆっくりと近づいて来る少女。俺はただ立ち尽くしていた。
 少女は俺の目の前に来ると、静かに口を開いた。
「私の名前は十二支(じゅうにし)リンネ。おめでとうございます――あなたは私に選ばれました」
 その声は、少女にぴったりな澄んだ声。透きとおった声。優しい声。
 俺が主人公になった瞬間だった。


inserted by FC2 system