女はすべて俺の敵!

エピローグ

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

〜丑耳遙架の追憶〜

 
 シルバー・ウィークの初日。私が燎池くんにフラれちゃった日――。
 燎池くんと別れた後、私はお母さんと話し合った。そして……新しいお父さんとも初めてまともに深く話し合った。その人は優しくて、とってもいい人だった。
 結論から言えば、私も色々間違っていたんだろう。お母さんも新しいお父さんも本当は再婚する事を望んでいたらしいのだ。だけど私が男の人を……いや、両親を憎んでいたから、2人はそんなこと口には出せなかったのだ。
 私はお母さんと和解した。ううん。私が悪かったって謝った。そしたらあれよあれよと話が進んじゃって。そして――私達は新しいお父さんの元へと引っ越しする事になったのだ。
 突然の事だったけど、私は嬉しかった。心がすっとするのを感じた。
 そして、今度私は弟や妹達を連れて、お父さんに会いに行こうかなって思ってるの。
 全部これは燎池くんのおかげなんだよ。やっぱり燎池くんは私にとって最高の人だった。
引っ越す前に、せめて燎池くんにお別れの挨拶がしたかったんだけど、きっとそれをしちゃったら台無しになっちゃう気がして……だから私、ずっと我慢してた。
 ……うん、そうだよ。燎池くんのあの言葉、嘘だって最初っから分かってるんだからね。だって燎池くんはこんな事言う人じゃないって知ってるって、私一番最初に言ったでしょ……ふふっ。だからね、やっぱりそれは正しかったんだよっ。
 あの時はまだそれが正しいかどうか分からなかったけど、少なくとも今なら全部分かる。
 だって私、もう燎池くんの事いっぱい知っちゃったから……。私の中はもう燎池くんでいっぱいだから。
 もう何も後悔はないけれど、唯一心残りがあるとしたら、それは燎池くんの事だけ。結局、落とされたのは私の方だったってこと。メロメロになったのは私の方だってこと。
 でも私……まだ完全に勝負に負けた訳じゃないんだから。だって……私って意外と負けず嫌いなんだよ?
 まぁでも今は……うん。こういうエンディングもアリなんじゃないかな。
 だけどきっと……またいつか会えるよ、燎池くん。私達きっと運命の糸で繋がれてるの。
 だって私達、少しの間だったけれど――最高の恋人同士だったんだもん。


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